- 相続財産:
- 債務(国税滞納)
- 依頼者の被相続人との関係:
- 子
- 相続人:
- 被相続人の子(依頼者とは異母きょうだい)
- 争点:
- 相続放棄
弁護士法人ALGに依頼した結果 | ||
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申述の取下げをするよう促される。 | → | 相続放棄の申述が受理される。 |
依頼者は被相続人である父と没交渉となっていたところ、ある日、税務署から書面が届き、被相続人が死亡したこと、被相続人には滞納している国税があったことを知りました。その書面には、相続人である依頼者が滞納国税の支払義務を承継する旨も記載されていました。
依頼者は、被相続人とは長年にわたり没交渉であったことや、被相続人には他にも子がいること(依頼者とは異母兄弟)から、自分には関係のないことと思い、放置してしまいました。
しかし、それから半年以上が経ち、依頼者は被相続人の滞納国税のことを思い出し、気になって税務署に連絡をしました。そうすると、税務署の方から、①他の相続人は相続放棄の申述を完了しており、現在は依頼者のみが相続人となっていること、②滞納国税は数百万円程度あること等を口頭で伝えられました。
そこで、依頼者は自らも相続放棄の申述をしなければ数百万円もの滞納国税を支払わなければいけなくなることを知り、慌てて裁判所に相続放棄の申述を行いました。しかし、裁判所からは、相続放棄の申述の受理は難しいといわれ、申述の取下げをするように促されました。
以上の経緯で、依頼者は、突然、数百万円もの滞納国税を支払わなければいけなくなるという窮地に陥り、弊所に相談の上、依頼されました。
弁護方針・弁護士対応
法律上、相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならないこととされています。また、裁判例によれば、被相続人に多額の債務がないと信じたために3か月以内に申述ができなかった場合には、その多額の債務の存在を認識したときから3か月以内に申述しなければならないとしたものがあります。
本件では、依頼者は、被相続人の死亡の事実と、被相続人に滞納国税があることを知ってから半年以上も経過してから、相続放棄の申述を行っています。裁判所が申述の取下げを促したのも、すでに3か月が経過していることが明らかであるからだと考えられます。
ここで、担当弁護士は、依頼者が税務署から受け取った書面に着目しました。その書面を改めて観察すると、確かに、被相続人が死亡したことや、被相続人には滞納している国税があり、相続人である依頼者が滞納国税の支払義務を承継すること等が記載されています。しかし、被相続人が滞納していた国税の具体的な内容や滞納金額などは一切記載されていませんでした。
そもそも滞納金額が不明であれば、相続放棄の申述をするべきなのかを十分に検討することもできません。実際、依頼者は、税務署に連絡し、滞納国税は数百万円程度あることを口頭で伝えられたからこそ、慌てて相続放棄の申述を行ったわけです。
そこで、担当弁護士は、税務署から送られた書面には滞納国税の金額が明記されておらず、そこから半年以上が経ち、税務署の方から口頭で、滞納国税は数百万円程度あることを伝えられた時点で初めて被相続人に多額の債務があることを知ったと構成し、その時点からはまだ3か月が経過していないことを理由に、相続放棄の申述は受理されるべきであると主張して、再度、相続放棄の申述を行いました。
千葉法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果
その結果、一度は申述の取下げを促した裁判所も、担当弁護士が提出した書面をもとに判断を変え、相続放棄の申述が受理されるに至りました。