
監修弁護士 大木 昌志弁護士法人ALG&Associates 千葉法律事務所 所長 弁護士
弁護士費用特約とは、交通事故などで弁護士に保険会社との交渉や訴訟手続きなどを依頼する際、必要な弁護士費用を、保険会社が最大300万円まで補償してくれるというものです。ご自身の任意保険に付帯していれば、実質無料で弁護士に相談・依頼できることになります。
では、残念ながら弁護士費用特約をつけていなかった場合、弁護士費用はどれほどかかるのでしょうか。また、弁護士費用を自己負担してでも弁護士に依頼するメリットはあるのでしょうか。本記事で詳しく解説していきます。
目次
弁護士費用特約なしの場合の対処法
ご自身の自動車保険に弁護士費用特約がなくても、自動車保険以外の保険や家族の保険に特約が付帯している可能性があります。そのため、すぐに諦めず他の保険に特約がついていないかしっかり確認することが重要です。
詳しくは、以下で紹介していきます。
自動車保険以外の保険を確認する
弁護士費用特約は、自動車保険だけでなく以下のような保険にも付帯していることがあります。
- 火災保険
- 医療保険
- 生命保険
- クレジットカード保険
- 個人賠償責任保険
- 建物・家財保険
- バイク、自転車保険
これらの弁護士費用特約は見落としがちですが、「確認したら実は加入していた」というケースも少なくありません。そのため、まずは保険会社に問い合わせたり、保険証券を確認したりして、付帯の有無を確認してみましょう。
また、付帯があれば保険会社に利用したい旨を伝え、弁護士に依頼するのがおすすめです。ただし、保険によって補償額は異なるため、弁護士への相談・依頼前に確認しておきましょう。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
家族や同乗者の保険を確認する
弁護士費用特約は、契約者本人だけでなく以下のような人物も補償される場合があります。
- 配偶者
- 同居の親族
- 別居の未婚の子
- 契約車両の搭乗者(友人や同僚など、家族以外も対象)
そのため、同居の家族や別居の両親にも、弁護士費用特約付きの保険に加入していないか確認してみることをおすすめします。ただし、保険によって補償対象の範囲も異なるため、事前の確認が必要です。
特約がない場合、弁護士費用はどれくらいかかる?
弁護士に依頼する場合、以下のような費用がかかるのが一般的です。
- 相談料
- 着手金
- 実費
- 成功報酬
弁護士費用特約がない場合、基本的にこれらの費用を自己負担する必要があります。それぞれの相場について、次項からみていきましょう。
相談料
相談料は、契約前に弁護士と法律相談する際にかかる費用です。相談料の相場は、30分5000円~、1時間10000円~など、時間単位で設定されています。また、初回の相談料を無料とする事務所も多いです。
弁護士法人ALGの場合、弁護士費用特約がない方については、基本的に「相談料無料」で対応しています。安心してご相談ください。
着手金
着手金とは、弁護士が事件に着手する際に支払う費用で、示談交渉の結果や成功・不成功にかかわらず返金はされません。着手金は経済的利益(加害者から受け取れる見込みの金額)に応じて決まるのが一般的で、20万~50万円が相場となっています。
弁護士法人ALGでは、通常の示談交渉であれば基本的に「着手金無料」でご依頼いただけます。
実費
実費とは、示談交渉や事件処理のため実際に支払った費用のことです。例えば、以下のような項目が含まれます。
- 交通費や宿泊代
- 切手代
- 収入印紙代
- コピー代
- 各種機関への照会費用
- 書類取得料(後遺障害診断書など)
金額は数千円~数万円が一般的ですが、事故現場との距離や必要書類によっても変わるため、心配な方は事前に弁護士へ確認してみましょう。
成功報酬
成功報酬とは、弁護士があげた成果に対して支払う費用です。利益がなかったり、不成功に終わったりした場合は発生しません。成功報酬の相場は、「経済的利益の〇%」と利益の大きさに応じて決まるのが一般的です。なお、経済的利益とは、弁護士の交渉によって増額した部分や加害者から回収できた金額を指します。
弁護士法人ALGの場合、成功報酬の金額は下表のとおりです。
【賠償金額の提示前】 | 回収額の11%+19万8000円 |
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【賠償金額の提示後】 | 回収額の22%+19万8000円 |
弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼すべき?
弁護士費用特約をつけていなかった場合、弁護士に依頼するにはある程度の自己負担が発生します。
もっとも、弁護士が交渉することで自己負担額を上回る利益が得られれば、依頼するメリットは大きいといえます。一方、「費用倒れ」するリスクもあるため、依頼するかどうかは慎重に検討すべきでしょう。以下では、弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼すべきか、事故のケースごとに解説していきます。
物損の場合
物損のみの場合、弁護士費用特約がないと費用倒れするリスクが高いといえます。物損事故とは、怪我人がおらず、車や携行品といった“物”だけに損害が発生した事故のことです。
この場合、加害者に請求できるのは「車の修理費」や「代車費用」、「携行品の交換費用」にとどまるため、受け取れる金額は比較的小さくなる傾向があります。
そのため、自己負担だと費用倒れになるか、手元にほぼ利益が残らない可能性があります。弁護士には依頼せず、自身で保険会社にもう少し上乗せできないか交渉してみるのも良いでしょう。
人身事故の場合
人身事故の場合、怪我の大きさや通院状況によって判断が異なります。重傷で入通院が長引いているようなケースでは、慰謝料や休業損害も高額になりやすいため、弁護士費用を支払っても利益が残る可能性が高いです。
一方、むち打ちなどの軽傷で通院頻度も低い場合、ご自身にも一定の過失割合が見込まれる場合等は、弁護士が介入しても自己負担を上回る増額は見込めない可能性があります。
これらはケースバイケースなので、まずは一度弁護士に相談してみることをおすすめします。費用倒れのおそれがある場合、その後の対応についてアドバイスすることも可能です。
費用倒れのリスクがないかは確認してもらえる
費用倒れのリスクについては、事前にある程度把握できます。例えば、怪我が軽微な場合、賠償金はそこまで高額にならないため、費用倒れのリスクも上がると考えられます。また、賠償金額がすでに提示された状況であれば、おおよその増額幅を見積もることも可能です。
弁護士法人ALGでは、まず交通事故専門の受付スタッフが状況を伺い、費用倒れのリスクについてしっかりお伝えいたします。また、依頼すべきタイミングも具体的にアドバイスできるため、費用にご不安がある方もお気軽にお問い合わせください。
特約なしの交通事故の解決事例
【弁護士費用特約なしのご依頼で、増額交渉に成功した事例】
ご依頼者様は、治療後も首から肩甲骨にかけての痛みが残り、後遺障害等級14級9号が認定されていました。しかし、相手方保険会社に提示された賠償金額が「約180万円」と低かったため、増額交渉できないか相談に来られました。
ご依頼者様は弁護士費用特約に加入していませんでしたが、後遺障害等級が認定されており「増額見込みは大きい」と判断できたため、増額交渉でご依頼いただきました。弁護士が交渉した結果、約130万円の増額に成功し、「約310万円」の賠償金で示談が成立しました。
成功報酬などを差し引いても手元に十分利益が残り、ご満足いただけた事案です。
弁護士費用特約に加入していなくても、まずはご相談ください
弁護士費用特約に加入していなくても、弁護士に依頼するメリットはあります。
弁護士に増額交渉を任せると賠償金は増額する可能性が高いため、弁護士費用を差し引いても利益が残るケースも多いです。
また、怪我が完治せず後遺障害等級申請を行う場合、適切な等級が認定されるには弁護士のサポートが欠かせません。費用倒れの可能性も含め、一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人ALGは、交通事故専門の受付スタッフが丁寧にお話を伺い、費用倒れのリスクや依頼すべきタイミングなどをしっかり説明させていただきます。「弁護士費用特約がなくて費用が心配」という方も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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保有資格弁護士(千葉県弁護士会所属・登録番号:53980)