監修弁護士 大木 昌志弁護士法人ALG&Associates 千葉法律事務所 所長 弁護士
交通事故の被害に遭ったときに弁護士へ相談・依頼すると、賠償金が増額すると聞いたけれど、どのタイミングで相談・依頼すればよいか分からない・・と、一歩を踏み切れずにお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
交通事故の被害に遭われた方が、弁護士に相談・依頼するタイミングは、できるだけ早い段階で行うことが望ましいです。
なぜなら、早いタイミングで弁護士に相談・依頼するほど、幅広くアドバイス・サポートが受けられるので、適正な賠償金が獲得しやすくなるためです。
今回は、【弁護士に相談・依頼するタイミング】に着目して、具体的にどのようなタイミングが望ましいのかを、メリットを交えてご紹介していきます。
目次
交通事故で弁護士に相談・依頼するタイミングは?
交通事故の被害に遭われたとき、弁護士に相談・依頼するタイミングは早ければ早いほど、幅広いアドバイス・サポートが受けられるようになるので、有利に示談交渉をすすめられる可能性が高まります。
弁護士に相談・依頼するかどうかは自由に決めることができますし、損害賠償の問題が解決するまでであればどのタイミングでも弁護士に相談・依頼することができます。
早いタイミングで相談・依頼したからといって、弁護士費用にそれほど大きな差は生じないため、「どうやって交渉すればいいかわからない」、「加害者側とのやりとりがストレスになる」など、交通事故の被害に遭われてお困りの方・悩まれている方は、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士に相談するタイミングと受けられるメリット
交通事故発生から解決までの流れは次のとおりです。
基本的に解決までの間であれば、いつでも弁護士に相談・依頼することができます。
いつ弁護士に相談・依頼すればどのようなメリットがあるのかを、次項で解決までの流れにそってみていきましょう。
事故直後に相談するメリット
交通事故に遭われたときに、弁護士に相談・依頼するタイミングは早ければ早いほど良いので、事故直後の相談・依頼がもっともメリットが大きいでしょう。
- 解決までの今後の見通しが立てられるので、不安やストレスが緩和される
- 保険会社や加害者との連絡窓口を弁護士に一本化できるので、治療に専念できる
- 適正な損害賠償金を獲得できるように、受けるべき治療や検査についてアドバイスが受けられる
- 弁護士が事故の流れをリアルタイムで把握できるので、一貫したサポートが受けられる
- 物損事故から人身事故への切り替えについてもアドバイスが受けられる
- 警察の聞き取り捜査や実況見分など、弁護士が介入することで不利な状況を回避できる
など、弁護士が事故の流れをリアルタイムで把握できることにより、一貫したサポートが期待できます。
治療中・入院中に相談するメリット
交通事故の損害賠償金は、治療の受け方や治療期間が影響することがあるので、治療中や入院中に弁護士へ相談・依頼するメリットも大きいです。
- 治療や通院頻度が適切かどうかのアドバイスが受けられる
- 賠償金が減額されないよう、整骨院への通院が適切か相談することができる
- 相手方保険会社から治療費打ち切りを打診された場合に、治療費支払の延長交渉や、治療費が打ち切られてしまったあとの通院の仕方など、適宜アドバイス・サポートが受けられる
など、賠償金が減額されないための適切な通院の仕方について的確なアドバイスが受けられるのがメリットです。
後遺障害等級認定の際に相談するメリット
医師から症状固定と診断された後、後遺障害等級認定を受けるにあたっては、できるだけ早めに弁護士に相談・依頼しましょう。
- 症状固定とは?
症状固定とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない状態のことをいいます。
- 後遺障害等級認定とは?
後遺障害等級認定とは、事故の後遺症が“後遺障害”に該当するかを判断する手続です。
認定された等級に応じて“後遺障害慰謝料”や“後遺障害逸失利益”が請求できるようになりますが、後遺症が残ったからといって、必ず等級認定されるわけではありません。
そこで、後遺障害等級認定を弁護士に相談・依頼するメリットとして、次のようなものが挙げられます。
- 後遺障害等級認定を見据えた、治療や検査の受け方についてアドバイスが受けられる
- 医師が作成する“後遺障害診断書”の内容についてアドバイスが受けられる
- 認定結果に納得できない場合に、異議申立てのサポートが受けられる
症状固定と後遺障害等級認定について、詳しくは以下の各ページもご覧ください。
症状固定とは | 症状固定までの期間や賠償額への影響 後遺障害等級認定の申請方法示談交渉時に相談するメリット
示談交渉は被害者ご自身で行うことも可能ですが、“交渉のプロ”と言っても過言ではない保険会社相手に納得できる交渉をするのは難しいことが多いので、弁護士のサポートが欠かせません。
- 弁護士の主張に対して、相手方保険会社が柔軟な姿勢をみせる可能性がある
- 相手方保険会社が主張する過失割合を修正できる可能性もある
- 相手方保険会社の提示額は、任意保険基準や自賠責基準であることが多く、弁護士に依頼することにより弁護士基準で交渉ができるので、賠償金の増額に期待できる
自賠責基準 |
・自賠責保険が賠償金の算定に用いる基準 ・基本的な対人賠償の確保を目的とするため、3つの基準のうち最も低額になることが多い |
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任意保険基準 |
・任意保険会社が賠償金の算定に用いる独自の基準 ・詳細な算定方法は外部に公開されていないが、基本的に自賠責基準と同額か、やや上乗せした金額であることが多い |
弁護士基準 |
・裁判所や弁護士が賠償金の算定に用いる基準 ・過去の裁判例をもとに設定され、3つの基準のうち最も高額になることが多い |
交通事故に関する法律の知識や経験が豊富な弁護士に依頼することが、納得できる結果を得る最善の方法といえます。
調停・裁判になったときに相談するメリット
示談交渉で加害者側と折り合いがつかない場合は、調停を申し立てたり、裁判を提起したりすることになりますが、弁護士のサポートが欠かせないものになります。
弁護士に相談するメリットとして、次のようなものが挙げられます。
- 調停や裁判の前であれば、必要性や納得できる結果が得られるかどうかアドバイスが受けられる
- 被害者側の主張を裏付ける証拠の集め方についてアドバイスが受けられる
- ご依頼者様に代わって、弁護士が主張・立証することができる
- 調停や裁判の煩雑な手続についてもサポートが受けられる
死亡事故の場合はいつ相談・依頼すべきか?
交通事故によって被害者の方が亡くなられてしまった場合も、示談交渉を開始する前に弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
死亡事故の場合、49日の法要までの葬儀費用を請求できることから、一般的には49日の法要が済んだ頃に示談交渉を開始するケースが多いです。
ただ、49日の法要が過ぎたからといって、すぐに示談交渉に向き合えるかというと、難しいことの方が多いです。
交通事故の手続、加害者側との示談交渉、葬儀など、大切な方を亡くされたばかりでも、ご遺族の方がしなければならないことは山積みです。
早いタイミングで弁護士に依頼すれば、事故の手続や加害者側とのやりとりを一任することができるので、ご遺族の方の精神的な負担の軽減も期待できます。
「どうすればいいかわからない」と思われたら、まずは弁護士に相談してみましょう。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
弁護士への相談・依頼が手遅れになってしまうタイミング
弁護士に相談・依頼することでさまざまなメリットがある一方、次のように、弁護士に相談・依頼しても手遅れになってしまうタイミングもあるので注意しなければなりません。
- 既に示談が成立している
- 損害賠償請求の時効が成立している
それぞれのタイミングについて、次項で詳しくみていきましょう。
既に示談が成立している
一度成立した示談は基本的に撤回・変更することができません。これは、弁護士に相談・依頼した場合も同様です。
もっとも、脅されて示談書に署名押印させられた場合や、示談した時点では予測できなかった後遺症などの損害が示談後に発覚した場合には、示談のやり直しや追加請求が例外的に認められることもあります。
ただし、このような例外が必ずしも認められるとは限らないので、納得ができなかったり、不安・疑問を感じた場合は、示談書に署名押印をする前に必ず弁護士に相談するようにしましょう。
損害賠償請求の時効が成立している
交通事故の加害者に対して損害賠償請求する権利=損害賠償請求権には、3年または5年の時効期限があり、なにもしないまま時効が成立してしまうと、損害賠償請求することができなくなってしまいます。これは、弁護士に相談・依頼した場合も同様です。
加害者側が示談に消極的だったり、手続に時間がかかったりして時効が迫っている場合は、被害者側からの“催告”や“訴訟提起”などの方法によって時効の完成猶予・更新を行うことができるため、手遅れになる前に、早めに弁護士に相談しましょう。
なお、交通事故の損害賠償請求権の時効期限は、事故状況によって異なるため、注意が必要です。
事故状況 | 時効期間 |
---|---|
事故発生時から加害者が分かる場合 | 交通事故発生日の翌日から5年(物損事故の場合は3年) |
後から加害者が分かった場合 | 損害および加害者が分かった日の翌日から5年(物損事故の場合は3年) |
加害者が分からない場合 | 交通事故発生日の翌日から20年 |
交通事故で後遺症が残った場合 | 症状固定日の翌日から5年 |
相談・依頼する前に知っておきたい!弁護士の選び方
弁護士への相談・依頼は、早ければ早い方が良いとはいえ、焦って弁護士選びに失敗すると、解決までに時間がかかったり、適正な損害賠償金が受け取れなくなるリスクがあります。
後悔しないためには、無料法律相談などを利用して、弁護士の雰囲気やご自身との相性を知っておくことが大切です。
以下、弁護士選びのポイントをいくつかご紹介しますので、ぜひご参考ください。
【弁護士選びのポイント】
- 交通事故の示談交渉の経験が豊富かどうか
- 過去の解決事例で、取り扱い件数やどのような成功事例があるのかをチェックする
- 後遺障害等級認定に詳しいかどうか
- 交通事故だけでなく、医学的知識を兼ね揃えているか
- 説明のしかた、話しを聞く姿勢など、信頼関係を築ける弁護士であるか
- 費用倒れなどのリスクについて、事前に説明してくれるかどうか など
詳しくは以下のページもご覧ください。
交通事故の弁護士の選び方について弁護士法人ALGが解決した交通事故事例
<事案の概要>
兼業主婦の方が、一時停止無視の相手方車両に衝突された事故において頚部挫傷などを負い、後遺障害14級9号が認定された事案において、相手方保険会社より提示された約200万円の賠償額からの増額を希望され、当法人にご依頼いただきました。
<弁護士の活動・結果>
弁護士は、「主婦の休業損害に対する収入と日数」および、「弁護士基準での後遺障害慰謝料の金額」を主張し交渉した結果、当初提示額より約150万円増額した、約350万円の賠償額で示談が成立しました。
賠償金算定のほか、事務作業や電話連絡などを弁護士に一任いただいたことにより、ご相談いただいてから約2週間での早期解決に至りました。
保険会社に何度もアプローチを図った結果、約1ヶ月で賠償金を約350万円増額した事例
<事案の概要>
ご高齢男性の方が自転車で横断歩道を走行中に、相手方車両に衝突された事故において大腿骨頚部骨折を負い、後遺障害10級11号が認定された事案において、相手方保険会社より提示された約200万円の賠償額が適正か疑問を持たれ、当法人にご依頼いただきました。
<弁護士の活動・結果>
休業損害や逸失利益は争点とならなかったため、主に慰謝料について相手方保険会社と交渉し、早期解決を希望していることを伝えたうえで何度もアプローチを図った結果、約1ヶ月で約350万円増額した、約550万円での賠償額で示談が成立しました。
よくある質問
早めに弁護士に依頼することで、解決までの期間を短縮することはできますか?
弁護士への依頼が早ければ早いほど、早期解決に繋がる可能性が高くなります。
事故後早い段階で依頼することで、弁護士が今後の見通しを立てやすくなるので、事故手続や加害者側との示談交渉など、サポートの幅も広がって円滑な解決が期待できます。
示談交渉の途中からでも弁護士に依頼することは可能ですか?
示談交渉の途中からでも、弁護士に依頼することが可能です。
加害者側から提示された賠償額や過失割合について適正かどうかを判断し、弁護士基準を用いた賠償額を主張することにより、提示額からの増額が期待できます。
示談交渉に不安やストレスを感じたら、すぐに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士に相談・依頼するデメリットはありますか?
弁護士に相談・依頼するデメリットとして、弁護士費用がかかることが挙げられます。
相談料 | 30分あたり5000円 |
---|---|
着手金 | 10万円~ |
成功報酬 | 獲得した示談金の10~20%程度 |
日当・実費 | 1日あたり3万~5万円程度 ※このほか、資料の取得費用、裁判所に納める印紙代・切手代など、弁護士活動にあたって実際に支出した費用の実費が請求されます。 |
もっとも、被害者の方ご自身やそのご家族が“弁護士費用特約”に加入していれば、自己負担することなく弁護士に相談・依頼できる可能性があります。
【弁護士費用特約】
弁護士費用特約とは、自動車保険や火災保険などに付帯する特約のことです。
基本的に、1事故1名につき10万円までの法律相談料や、300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれます。
交通事故で後悔しないためにも、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の被害に遭われたときは、早いタイミングで弁護士に相談・依頼することで、加害者側とのやりとりや交通事故の手続など、幅広いサポートが受けられるようになります。
また、弁護士基準による損害賠償金の増額を主張することにより、適正な賠償金が獲得できる可能性が高まりますので、無料相談などを利用して、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人ALGでは費用やリスクについても事前にお伝えしていますので、加害者側とのやりとりに不安を感じていらっしゃる方、示談交渉が思うように進まずにお困りの方をはじめ、なにを相談・依頼していいかわからないという方も、まずはお気軽にお問い合わせください。
適正な補償が受けられるよう、交通事故問題の経験豊富な弁護士が味方となってサポートいたします。
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保有資格医学博士・弁護士(千葉県弁護士会所属・登録番号:53980)