監修弁護士 大西 晶弁護士法人ALG&Associates 千葉法律事務所 所長 弁護士
妻側から離婚を考える理由はさまざまですが、姑とそりが合わない、姑からの嫌がらせに耐えられなくなった等の嫁姑問題が理由で離婚を考えることは大いにありうることかと思います。
この記事では、こうした嫁姑問題を理由に離婚できるのかについて解説します。
目次
嫁姑問題を理由に離婚できるか
嫁姑問題を理由に離婚できるかについて、夫が合意してくれる場合には離婚できますが、そうでない場合には難しいです。
離婚というのはどこまでいっても夫婦間で結ばれた婚姻関係の解消の話になりますので、夫婦間で合意できるかどうかがまず重要です。
したがって、理由がどうあれ、離婚協議や、離婚調停の場において、夫が離婚に合意するのであれば、離婚は成立しますので、夫が合意する場合には嫁姑問題を理由に離婚できるということになります。
一方で夫が離婚に合意しない場合には、離婚訴訟で決着をつけることになりますが、離婚裁判で離婚が認められるには、法定の離婚事由が必要です。
法定離婚事由は、①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④強度の精神病の回復見込みがない、⑤婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条各号)の5つになります(なお、法改正により④は令和8年4月1日以降廃止)。
嫁姑問題は強いて言えばこのうち⑤に該当する余地がありますが、やはり夫婦以外の親族関係を理由に法定離婚事由が認められるケースは少ないです。
嫁姑問題が原因の離婚率はどれくらい?
嫁姑問題を理由とする離婚率がどのくらいかを正確に示すデータは存在しませんが、妻側から離婚を申立てた事件のうち、「家族親族と折合いが悪い」という動機を離婚調停を起こす理由に挙げた人数は全体の5.4パーセント(令和6年度司法統計第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別)であり、親族間の問題を理由に、妻側から離婚を切り出すケースは少なくないことが分かります。
離婚前に考えるべき3つのこと
①姑と和解する方法が無いか
嫁姑問題を理由に離婚を考える前に、離婚せずに解決できないかも検討するのが良いでしょう。
例えば、もし姑と同居しているのであれば、姑と別居できないか夫に相談してみる、または、完全な別居が難しくとも、同じ敷地内の別の家に住むようにする、家の中の1階と2階で生活の拠点を分ける等の方法が考えられます。
他にも、姑とまだ話し合える状況なのであれば、何が問題になっているのかを明らかにするために、姑との話し合いの機会を設けるというのも対策の1つとして挙げられます。
②離婚後の生活に備えておく
もしどうしても姑と折り合いがつかず、夫とも離婚せざるを得ないと判断した場合には、離婚後の生活に備えておく必要があります。
離婚後生活する場所はどうするのか、自分ひとりの収入で生活していくことができるのか等きちんと考えておくべきでしょう。
例えば、離婚後自身が今住んでいる家を出ていかなければならない場合には、居住する家を確保しなければなりませんし、専業主婦の場合には、生活できるだけの収入を確保するために働き口を見つけておかなくてはなりません。
離婚後、その収入でどのように生活していくのか、家計管理についてもある程度の見通しを立てる必要があります。
③子供の親権をどうするか
また離婚するとなった場合に、夫婦間に未成熟の子供がいるというときには、夫婦のどちらか一方を親権者として定める必要があります。
嫁姑問題を理由に離婚したいという場合には、姑から「親権をよこせ」と言われることを恐れる方もいるかもしれませんが、姑は子供の親ではありませんので、当然ながら親権を主張することはできませんし、夫の親権について口出しをすることもできません。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
嫁姑問題による離婚の慰謝料請求と相場
姑への慰謝料請求
姑のいじめが原因で離婚するに至った場合、姑への慰謝料請求ができるかについて、姑の行為が不法行為(民法709条)に該当する場合、すなわち、姑の行為が原因で夫婦関係が破綻したといえる場合には慰謝料請求をすることができます。
姑の行為が不法行為に該当することについてこちらが立証する責任を負いますので、証拠収集は事前に行う必要があります。
証拠となるものとしては、例えば、姑の暴言の録音データ、姑からいじめられていることが分かるLINE等のメッセージのやり取り、姑の暴行により怪我をした場合にはその写真や診断書等が挙げられます。
慰謝料額の相場は、姑からの行為の態様の悪質性や期間の長短にもよりますので、一概には言えませんが、100万円から200万円程度だと考えられます。
夫への慰謝料請求
嫁姑問題で離婚する場合には、直接の原因が姑であるため、夫に対して慰謝料を請求できるかが問題となりますが、結論としては、夫婦関係が破綻したこと、すなわち姑の行為について夫にも責任があることを立証できれば、夫に対しても慰謝料を請求できます。
典型例としては、夫が姑の嫌がらせに積極的に加担していたというような場合です。
また、嫁姑問題に対し、夫が中立であろうとする、巻き込むなよ等と言って話を聞いてくれない、姑の肩を持つ等の行為をした場合には、夫婦関係の破綻に対する夫の寄与度が大きいとして、離婚慰謝料が増額される可能性もあります。
嫁姑問題で離婚をお考えなら離婚弁護士ALGにご相談ください
嫁姑問題は、それだけで法定離婚事由にはなりにくいものの、場合によっては法定離婚事由にも該当しえますし、調停においては立派な離婚理由になりえます。
また、姑や夫に対する慰謝料請求等、さまざまな法的手続が絡む問題をはらんでいます。
この証拠で離婚できるのか、慰謝料請求できるのか等、法律の専門家である弁護士の目がなければ判断できない事項も多々あるかと思います。
弁護士法人ALGには離婚問題に精通した弁護士が多数在籍しておりますので、嫁姑問題で離婚をお考えの方は是非一度、お早めにご相談ください。

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保有資格弁護士(千葉県弁護士会所属・登録番号:53982)
