托卵を理由に離婚した場合の慰謝料相場は?養育費はどうなる?

離婚問題

托卵を理由に離婚した場合の慰謝料相場は?養育費はどうなる?

千葉法律事務所 所長 弁護士 大西 晶

監修弁護士 大西 晶弁護士法人ALG&Associates 千葉法律事務所 所長 弁護士

「托卵」とは、妻が夫ではない男性との間に子供をもうけたうえで、夫との子供だと偽り養育させることをいいます。

托卵が発覚した場合、怒りや悲しみなどさまざまな感情が湧き、今後の対応に悩む方も多いでしょう。また、離婚請求や慰謝料請求ができるのか、親子関係はどうなるのかなど、多くの法的問題も生じます。

本記事では、托卵が発覚した場合の慰謝料の請求方法や、養育費の支払いなどについて解説します。

托卵が発覚した(自分の子供じゃなかった)場合、離婚慰謝料を請求できる?

托卵が発覚した場合、離婚慰謝料を請求できる可能性が高いです。

妻が他の男性との間にもうけた子供を、夫の子供であるかのように養育させた事実は、「夫婦間の信頼関係を著しく損なう重大な裏切り行為」といえます。

そのため、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すると考えられます。

また、子供が婚姻期間中の不貞行為によって出生した場合は、不貞行為自体が法定離婚事由に該当し、離婚や慰謝料請求の根拠となるでしょう。

このように、托卵は不法行為として法的責任を問えることから、離婚慰謝料を請求できる可能性が高いといえます。

托卵に対する離婚慰謝料の相場

一般的に、不貞行為を理由とする離婚慰謝料の相場は、200万~300万円程度とされています。

托卵のケースでは、不貞行為に加えて「夫の子供であると偽って養育させていた」という悪質な事情が考慮されるため、相場よりも高額な慰謝料を請求できる可能性があります。

なお、慰謝料請求には時効があり、基本的には 「托卵の事実」と「不貞相手が誰であるか」の両方を知った時点から3年以内に請求する必要があるため、注意が必要です。

托卵妻に慰謝料を請求する方法

托卵妻に慰謝料を請求する方法は、主に次のとおりです。

  • 話し合い(協議・調停)まずは、当事者同士で慰謝料の金額や支払方法について話し合います。話し合いで合意に至らない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を介して話し合いを進めることも可能です。
  • 裁判(訴訟)話し合いで解決できない場合には、裁判を起こして慰謝料の支払いを求めます。裁判では、不貞行為の内容や期間、夫が受けた精神的苦痛の程度などを踏まえて、慰謝料額が判断されます。

なお、慰謝料請求のみを行う場合、調停を経ずに直接裁判を起こすことも可能です。
一方、離婚請求を伴う場合は、原則として事前に離婚調停を行う必要があります。

托卵を理由に離婚したその後の養育費はどうなる?

何もしなければ支払い義務は元夫にある

托卵を理由に離婚しても、法的手続きをとらない限り親子関係は続きます。
したがって、元夫は法律上の父として、離婚後も養育費の支払い義務を負うことになります。

法律上の親子関係を解消・否定できれば支払い義務はなくなる

養育費の支払い義務をなくすには、法律上の親子関係を解消する必要があります。

方法としては、夫が自分の子供ではないと主張するための「嫡出否認の訴え」と、そもそも法律上の親子関係が成立していないことを確認する「親子関係不存在確認の訴え」の2種類です。

いずれかが裁判所に認められた場合に限り、元夫の養育費の支払い義務はなくなります。

托卵された子供との親子関係を解消する方法

嫡出否認の訴え

「嫡出否認の訴え」は、婚姻中に生まれるなどして法律上「夫の子」と推定される子供について、親子関係を解消するための手続きです。

手続きとしては、まず家庭裁判所に「嫡出否認調停」を申し立て、DNA鑑定の結果などを踏まえながら当事者間での合意を目指します。

調停で合意が成立した場合は、その内容に基づいて審判がされます。合意に至らず調停不成立となった場合は、「嫡出否認の訴え」を起こし、裁判所に最終判断を求めるのが通常です。

裁判所が嫡出を否認すれば、法律上の親子関係は解消され、養育費の支払い義務もなくなります。

手続きには期限があり、夫が子供の出生を知った時から3年以内に提起する必要があるため、早めの対応が重要です。

親子関係不存在確認の訴え

「親子関係不存在確認の訴え」は、法律上の親子関係が存在しないことを裁判所に確認してもらうための手続きです。

提訴期限はありませんが、利用するには、妻の妊娠時期に夫婦が長期間別居していた、夫婦関係を持つ機会がなかったなど、客観的に親子関係の成立が不可能といえる事情が必要です。

手続きとしては、まず家庭裁判所に「親子関係不存在確認調停」を申し立て、当事者間での合意を目指します。

調停で合意が成立した場合は、その内容に基づいて審判がされます。合意に至らず調停不成立となった場合には、訴えを起こして裁判所に判断を求めるのが通常です。

裁判所が親子関係の不存在を認めれば、法律上の親子関係は解消され、養育費の支払い義務もなくなります。

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托卵が判明した場合の離婚や慰謝料請求については弁護士に相談がおすすめ

托卵が発覚した直後は、強い精神的ショックを受け、冷静に状況を判断するのが難しいケースも多いです。そのため、離婚請求や慰謝料請求などの複雑な手続きについては、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士に依頼することで、親子関係の否定や慰謝料額の判断、調停・裁判の対応まで任せることが可能です。また、相手と直接やり取りする必要がなくなるため、精神的負担を軽減しながら解決を目指すことができるでしょう。

托卵妻との離婚や慰謝料に関する質問

托卵されて離婚しました。妻の相手の男性(子供の父親)に慰謝料と養育費を請求できますか?

婚姻中の不貞によって托卵が行われたケースでは、妻や相手の男性に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

托卵が原因で離婚に至った場合は、精神的苦痛が大きいと評価され、慰謝料額が高くなる傾向があります。

一方で養育費は、法律上の父子関係が前提となるため、法的手続きによって親子関係を解消・否定しない限り、相手の男性に直接請求することはできません。

托卵と知らず自分の子供だと騙されていました。離婚時の財産分与は拒否できますか?

離婚時の財産分与は、基本的に拒否することはできません。

財産分与は、夫婦の共有財産を公平に清算するための制度であり、托卵や不貞行為の有無とは別に判断されます。

そのため、たとえ相手に不貞行為などの問題があっても、それだけを理由に財産分与を拒否することは難しいといえます。

ただし、当事者間の合意があれば、「財産分与を行わない代わりに慰謝料も請求しない」といった条件で解決することは可能です。

離婚後に托卵が発覚しました。支払った養育費は取り返せますか?

過去に支払った養育費は、基本的に取り返すことはできません。

民法では、嫡出否認の訴えによって法律上の父子関係が解消された場合でも、子から父に対し、過去に支払われた養育費を返還する義務はないと定められているためです(民法778条の3)。

もっとも、法律上の親子関係が否定された場合は、元妻や実父へ不貞行為に対する慰謝料請求を行い、結果として養育費相当額の慰謝料を受け取れる余地はあります。

托卵に対する離婚・慰謝料請求でお悩みの方は弁護士法人ALGへご相談ください!

托卵が発覚した場合、離婚の可否だけでなく、親子関係の手続き、慰謝料請求、養育費の問題など、複数の法的問題が生じることがあります。
また、期限が設けられている手続きもあるため、早めの対応が重要です。

弁護士法人ALGでは、離婚・不貞問題に詳しい弁護士が、証拠収集から交渉、裁判手続きまで一貫してサポートいたします。

托卵による離婚や慰謝料請求でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

千葉法律事務所 所長 弁護士 大西 晶
監修:弁護士 大西 晶弁護士法人ALG&Associates 千葉法律事務所 所長
保有資格弁護士(千葉県弁護士会所属・登録番号:53982)
千葉県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。